メニュー

アルツハイマー型認知症

どんな病気?

アルツハイマー型認知症は、認知症のなかで最も多いタイプです。脳の神経細胞が少しずつ障害されることで、記憶力や判断力が低下し、日常生活に支障が出てきます。多くの場合は急に悪くなるのではなく、数年単位でゆっくりと進行していきます。

初期は「最近のことを忘れやすくなった」という変化から始まることが多く、進行とともに時間や場所の感覚、段取りの力、言葉の理解なども少しずつ難しくなっていきます。

よくみられる症状

初期(軽度)

  • 最近の出来事を忘れやすい(同じ質問を繰り返す、約束を忘れる)
  • 物の置き忘れや探し物が増える
  • 日付や予定の管理が難しくなる
  • 段取りが必要な家事や手続きでミスが増える

中期(中等度)

  • 時間や場所の感覚があいまいになる(季節、自分の居場所が分からない)
  • 着替え、入浴、排泄などに声かけや介助が必要になることがある
  • 不安、怒りっぽさ、落ち着かなさなどの精神症状(BPSD)が出やすい時期
  • 道に迷う、火の不始末など安全面のリスクが増す

後期(重度)

  • 家族の顔が分からなくなる、会話が難しくなる
  • 食事や移動に全面的な介助が必要
  • 嚥下機能の低下や感染症にかかりやすくなる

受診の目安・在宅で困りやすいこと

  • 物忘れで生活に支障が出ている(服薬管理、金銭管理、火の不始末など)
  • 不安・怒りっぽさ・落ち着かなさ・昼夜逆転などが続き、介護がつらくなってきた
  • 体調不良(感染、脱水、便秘、痛みなど)をきっかけに急に混乱が強くなった
  • 通院が本人にも家族にも大きな負担になってきた
  • 今後の進行や介護の見通しに不安がある

診断の進め方

ご本人・ご家族からの聞き取りで、いつ頃からどんな変化があるか、生活で何に困っているかを整理します。認知機能の簡易検査(長谷川式、MMSEなど)を行い、必要に応じて血液検査、画像検査(MRI/CTなど)を組み合わせて、他の原因(甲状腺機能低下、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など治療可能な疾患)も含めて評価します。

治療と支援

  • 生活リズムを整えることが基本です(睡眠・食事・日中の活動・適度な刺激)
  • 予定や物の置き場所を「見える化」する工夫(カレンダー、ラベル、定位置)が有効です
  • 抗認知症薬(ドネペジル、メマンチンなど)の使用を検討します。進行を完全に止める薬ではありませんが、症状の進行を緩やかにする効果が期待できます
  • 興奮・不安・不眠・妄想などのBPSDに対しては、まず原因(痛み・便秘・感染・環境変化・薬の影響)を確認し、環境調整を行ったうえで、必要に応じて薬物療法を慎重に検討します
  • 進行段階に応じて、介護サービスの導入や増量を適切なタイミングで提案します

ご家族へのポイント

  • 間違いを正すよりも、安心できる対応を優先してください(短い声かけ、選択肢は少なく、否定しない)
  • できることは続けてもらい、役割や自尊心を守ることが大切です
  • 急な悪化は体調の問題(感染、脱水、便秘、痛みなど)が隠れていることが多いため、「認知症が進んだ」と決めつけず、まず体調を確認・相談してください
  • 介護者が一人で抱え込まないこと。デイサービス、ショートステイ、訪問介護など、外部の力を早めに取り入れることが、長く在宅療養を続ける鍵です
  • ご家族自身の健康も大切です。介護うつや身体の不調が出る前に、相談してください

早めの受診が必要なサイン

  • 数日単位で急に混乱が悪化した(急なせん妄、幻覚、強い興奮)→ 感染・脱水・薬の影響の可能性
  • 食事・水分がほとんど取れない
  • 転倒、頭を打った後から様子が変わった
  • 片側の手足が動かない、ろれつが回らない、顔のゆがみ → 脳卒中の可能性、すぐに救急対応

当院の在宅療養でできること

  • ご自宅での診察:住み慣れた環境で、体調や認知機能の変化を継続的に確認します。通院が難しくなった方も安心して医療を受けられます。
  • BPSD(行動・心理症状)への対応:不安、怒りっぽさ、落ち着かなさ、昼夜逆転、妄想などに対し、原因の特定と環境調整を行ったうえで、必要に応じた薬物療法を慎重に行います。精神科専門医としての知見を活かした対応が当院の強みです。
  • お薬の調整:抗認知症薬やBPSDに対する薬を、副作用や持病、他の内服薬との兼ね合いを踏まえて個別に調整します。飲み忘れ対策(一包化、服薬カレンダー、訪問薬局との連携など)の提案も行います。
  • 進行段階に応じた見通しの共有:今後どのような経過をたどりやすいか、どの時点でどんな準備が必要か(介護サービスの追加、施設入所の検討、看取りの方針など)を、先を見据えてお伝えします。
  • ご家族のサポート:対応のコツ(声かけの仕方、環境の整え方)、介護負担の軽減策、使える制度やサービスについて一緒に考えます。介護者の方の心身の疲弊にも目を配ります。
  • 入院が必要な場合の判断と調整:興奮や暴力、徘徊による事故のリスクなどBPSDが重く在宅での安全が保てない場合や、介護者の心身の限界により在宅療養の継続が難しい場合は、精神科病院への入院についてご本人・ご家族と相談し、適切な医療機関への紹介・調整を行います。
  • 各種書類の作成:主治医意見書(介護保険)、障害年金診断書、成年後見用の診断書などに対応しています。
  • 多職種連携:訪問看護、ケアマネジャー、薬局、地域包括支援センター、連携病院等と協力し、医療と介護の両面からチームで支えます。

免責

本ページは一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代替となるものではありません。症状や治療方針は個々の状況により異なりますので、気になる症状がある場合は医療機関へご相談ください。

参考文献

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME